陶器のお手入れ
日常的にお使いになられる器を販売していますので、特別なお手入れの必要はございません。
ただ、染みや匂いが付くのを防ぐための方法として「目止め」がございます。必ず必要ということではありませんが、汚れが付くのがご心配な方、なるべく新品のような状態を維持して使いたいという方には目止めを行なってからご使用頂くのが良いかと思います。
陶器の性質 陶器には一般的に吸水性があるため、ご使用により料理の水分や油分、茶渋などが土の内部に入り込み、染みや匂いの原因となることがあります。
陶器と磁器の違い
陶器=土ものと呼ばれ、多孔質で吸水性があり、透光性はない(染みや匂いがつきやすい)
磁器=石ものと呼ばれ、ガラス質で吸水性はなく、透光性を持つ(染みや匂いはつきにくい)
釉薬はガラス質であり、水分や油分は通しませんが、表面上のごく小さなピンホール、また貫入(かんにゅう)と呼ばれる釉薬のヒビから染み込みます。
ここでは一般的な陶器のお手入れ方法をご紹介します
使い始め
陶器は大変吸水性の高いものです。 新しい乾いた「やきもの」をそのままお使いになると、食べ物の汁や醤油などが器の中に浸み込み、汚れることがあります。初めてお使いになるときは、半日(出来れば丸一日)くらい水の中に浸し、十分に器を湿らせてからお使いください。
粉引などのうつわを水に浸けると、グレーっぽい斑点が出たりすることがあります。土に水分が浸透すると起こる現象ですので全く問題ありません。
毎回のご使用時にサッと水洗いする程度で大丈夫です。
目止めについて
陶器の中でも粗い土のものは、汚れやにおいをつきにくくしたり水漏れを防いだりするため、米や片栗粉などのでんぷん質のあるもので貫入(*末尾参照)や粗い土目を塞ぐ「目止め」という方法があります。
目止めとは、多孔質で吸水性のある陶器に最初に澱粉質を染み込ませることにより、あとからの料理の成分を染み込みにくくする方法です。
大きめの鍋に米の研ぎ汁、もしくは水に片栗粉または小麦粉を溶かしたものを器が完全に浸るくらいまで入れ、弱火で15~20分ほど煮沸します。
火を止め、そのままの状態で冷まします。冷めたら、ぬめりを洗い流し、よく乾かします。 (小麦粉か片栗粉をご使用の場合は水1リットルに対し大さじ1〜2杯程度を加え、とぎ汁の代わりとしてください。)
普段のお手入れ
お使いになる前に数分程度水に浸してからお使いください。吸水性の高い粉引などの器の場合は軽く水洗い程度で大丈夫です。 水を含むとうつわの表面がしっとりした肌合いになり、料理が映えるようになります。揚げ物には紙を一枚敷いて盛り付けるのがおすすめです。
お使いになった後は、出来るだけ早くスポンジに中性洗剤をつけて水洗いをしてください。布巾で拭いた後はすぐにしまわず、一晩ほど乾かすのが理想的です。乾燥が不十分だと、カビやにおいの原因になります。器の底面を上にして、重ならない状態で乾燥させてください。
重ねて収納するときは、同じ材質や形のものを重ねると傷がつきにくくなります。また、キッチンペーパーや和紙などを挟むと傷を防ぎ、水分を吸収してくれます。
食洗機、電子レンジのご使用は破損の原因になる場合もございますので、 お避けください。
こんな時、、
カビが生えてしまった
まずは洗って、煮沸消毒してみてください。 それでも落ちない場合には、薄めた食器用漂白剤に浸してからしっかりすすぎ、天日干しなどで十分に乾燥させてください。 においがついてしまって取れない レモンを絞った水にいれ、ゆっくりと煮沸します。 それでも取れない場合には、重曹を水に溶かしたもの(水1リットルあたり重曹大さじ4杯程度)に半日~1日浸し、丁寧に洗い流します。完全に乾いてもまだにおいが取れない場合には、同様の処理を2~3回繰り返します。
しみがついてしまった
食器用漂白剤に浸してからしっかりすすぎ、天日干しなどで十分に乾燥させてください。 茶しぶやコーヒーなどの染みには、大さじ1杯くらいの塩をスポンジに乗せ、水を含ませて磨きます。その他、煮沸消毒も有効です。
*貫入について
貫入とは、陶器が焼かれた後に冷えていく過程で、陶器本体の素地と釉薬の収縮度の違い(釉薬の方が土よりも縮む)により表面の釉薬がヒビのような状態になって固まる現象を言います。 この貫入に茶渋やコーヒーなどの色素が入り込んで徐々に色が付いてきます。このように少しずつ経年変化して育っていくのを眺めるのも焼き物の楽しみの一つでもあります。